企業会計原則

真実性の原則

真実性の原則とは、企業が作成する財務諸表が客観的な取引事実に基づいた真実なものでなければならないことを要請する原則です。

一般原則一、真実性の原則
企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

企業会計における最高規範

企業には多くの利害関係者が存在し、それぞれの利害関係者がそれぞれの立場から意思決定を行っています。そしてその意思決定の判断のよりどころとなるのが財務諸表です。したがって財務諸表の情報が真実でなければそれぞれ利害関係者は正しい意思決定を行うことができません。

したがって会計情報が真実であるということは必要絶対条件であり、真実性の原則は企業会計における最高規範とされています。

真実性の原則の一般的な解釈

上記のように真実性の原則は「企業会計は真実なものでならない」とそのままの意味で捉えると粉飾決算を行うなというような会計として当たり前のことを規定しているのみで特に何も具体的な会計処理の方法を示していないと言えます。

しかし一般的には、真実性の原則は真実性の原則以外の他の一般原則、損益計算書原則及び貸借対照表原則への準拠を要請することを通じてそれらに準拠して作成された財務諸表の会計情報を真実であるとみなすという意味での真実を意味していると一般的には解釈されます。

相対的真実

企業会計は、記録(過去の記録)慣習(会計処理の選択容認性)判断(会計担当者の主観的判断)という極めて主観性の強い要素により成り立っています。

そのため「同一の会計事実」であっても、ある企業とまた別のある企業とでは必ずしも「同一の会計結果」になるとは限りません。

また、今日の企業会計は人為的に区切られた会計期間を設定しその会計期間内における損益計算(期間損益計算)を目的としていますが、この期間損益計算においては減価償却費の計算など必然的に予見計算が介入します。

したがって必然的に企業会計における真実とは絶対的な真実とはなりえず相対的な真実にすぎないということになります。

ちなみに相対的な真実とは、ある会計事象について複数の異なる人物が異なる会計処理を行い異なる結果がもたらされたとしても、それぞれが定められた手続きに従って会計処理されている限りはどれも真実なものと認めるということを意味します。

絶対的真実

それに対して絶対的真実とは唯一絶対的な真実をいいます。

企業会計における絶対的真実とは、ある一時点に企業に存在する全ての財産及び全ての債務をその時点の客観的な時価によって評価することで作成する財産目録のようなものがそれに該当します。

しかしこのようにして得られる財産目録は、会社を清算して全ての財産を換金しないかぎり時価を算定することが不可能でしかも大きな会社であればそれだけで数年を要してしまいます。

しかも継続企業を前提とすると会社の換金価値、清算価値など通常意味がありません。

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